何も言わぬまま傍に居て、ずっと逃れ続けていた臆病な自分に決着をつけるべく彼女に告げたその台詞は、 羞恥と緊張のあまりちゃんと言葉になっているのかどうかすら危うかった。
多分今の自分は林檎よりトマトよりも、いやもうこの世にある全ての赤い物質の中でどれよりもなによりも、赤い気がする。

あれ、でもそれって一体どんな色だ?赤より赤い赤?え?

・・・つまりはこんな、全く意味の分からない事が脳内をぐるぐる渦巻くほどに羞恥と緊張が迸っているわけで。

一方コレットといえば、ぴくりとも動かずにすっかり硬直していた。

告げられた言葉の意味を理解しようとして、頭の中で必死にそれを反芻して反芻して、飲み込んで。 だって、ずっとずっと待ち焦がれていた科白が、今。彼の声で確かに、この耳に届いたのだから。
果たして真実か、否か。切なる願いが見せた幻なのか。反芻して反芻して、飲み込んで。

お互いの視線だけが交錯したままの長い長い、だけどほんの数秒。
先に口を開いたのはコレットだった。



「ほんとう、に?」

「ああ。ずっと言えなくて、ごめん」



だから、コレットの気持ちも聞かせて欲しい。
しどろもどろに言われると、涙がぽろぽろとこぼれてきた。自分でもどうしてかわからなくて、あれ?と袖でごしごし擦ってみても頬を伝う雫は止まりやしない。
だって、ずっとずっと待ち焦がれていた科白は真実で、彼が自分だけのために紡いだ科白で。

「ごめん、嫌だったよな」

至極心配そうに覗き込んできた彼の広い胸に思わず飛び込んでから小さく、「違うの、嬉しいの」と言った。
戸惑いがちに背中に回された腕の温もりに、言いたいことはそれだけじゃなかった。ロイドが聞きたいと言ったわたしの気持ちはそれだけじゃなかった。もっと数え切れないほど沢山あって、だから今すぐちゃんと伝えたいのに、止まらない涙がそれを言葉にするのを邪魔する。
ごしごしと両眼を擦った。震える喉は上手く言葉を紡げないかもしれないけれど。だからその前にどうか。



「ロイド、お願い。もう一度だけ言って?」






He said,


"I love you"







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ギャワー恥 ず か し い !穴があったら入りたいって今まさにこの瞬間のことを言うのね! ちなみに書き方変えてみたつもりなんだけどあちゃぱー大失敗ですね。 でもわたしにしては珍しいかんじの話なんじゃないでしょうか。 ロイコレは天然で恥ずかしい事をやってのけてくれそうなイメージがあるのですが、自分的にこれが色々限界点です。

2006,April 29




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