端から見れば寡黙で硬派(あくまでも端から見て、の話だが)、顔の創りだってそれなりで(曰く二枚目らしい)。 おまけに泣く子も黙る真選組の隊士、しかも副長ときた(まあいずれ自分がその地位を奪ってやるけど)。 そんな、傍目にみればルックスも地位も人並み以上の(って改めて言葉にすると何か無性に腹が立つ) この人だけどどう考えてもこの姿は本当ちょっと。
見ていて胸糞悪いというか吐き気を催したくなるというかホント死んでくれないかなというか、むしろもうさっさと死ねよ土方コノヤロー。



「・・・つまり総悟。テメーは何が言いてーんだ」
「だァから、それ。アンタの食ってるそれが気持ちわりーっつってんです」
「あん?テメーお茶漬け土方スペシャルに文句あんのかコラ」



鋭い眼光で睨みつけてくるも、全く恐るるに足りない。
まだ味薄いな、と乳白色の物体を更ににゅるにゅると絞り出しているさまは、 なんせまるで始末がついていなかった(鬼の副長なんて、こんなので怖気づく奴等の気がしれねェ)。ああ見てるだけで気持ちが悪い!

あらわせる限りの不快感でもった顔でその姿を横目にしていると、そうだそういえば、とようやくマヨネーズを絞る無骨な手が止まった。



「お前こないだのヤマで怪我したらしいけど、もう大丈夫なのか?」
「は?怪我?」
「攘夷の連中に囲まれたんだろ、お前一人に対して向こうは十人ちょっと居たとか」
「・・・ああ、あれか。あんなのかすり傷ですよ」
「かすり傷っつってもお前、またロクに治療もしねえでほったらかしてたんじゃないだろうな」
「何なんですか土方さん、そんなに俺のことが気になるんですかィ?」
「バッカ、ちげーよ」



またまた、照れる必要ないんですぜ。軽く笑ってみせて内心、自分でもすっかり忘れていたような怪我のことを指摘されて驚いた。ほんの少し刃先が脇腹を掠めただけでそれは本当に、次の日起きたらほとんど傷口が塞がっていたぐらいのもので。跡すらとっくに消えている。

・・・つまるところ結局、俺がどれだけこのひとを足蹴にしてみたところで、このひとが俺に愛想を尽かすことも見放すこともないのだった。 近藤さんが俺を、俺達を見放さないってのと同じくらいはっきりと言える。相当はた迷惑な話だけど。

ああ、けれど自分だって結局は。

こんだけ平気で悪態つけんのに。副長として認めねえとか心底思ってんのに。 くたばれって本気で願ってんのに。



「やっぱり愛憎ってのは紙一重なんですかねェ」
「は?イキナリ何の話だよ」
「これでも心のどっかで信頼しちまってるっつーか、要は認めてるっつーか」
「だァから何の話だよ」
「脳味噌マヨネーズの馬鹿にはわかんねー話でさァ」



ま、なんにせよアンタなんて近藤さんの次ですけどね、とは言わずにおく。 ここまで言ったらいくら馬鹿でも感づくだろう、それはさすがにこっぱずかしい。 というかもう既に柄でもないことを言ってしまった気がするんだけど。

ふらふらと立ち上がって、妙に居心地の悪くなったこの部屋から出ようと襖に手をかけた。
後ろで、何だお前さっきから!仮にも上司に向かって死ねとかとか馬鹿はないんじゃないの!とほざいている声がしたけど、全く以って聞こえないふりをしておいた。









手を伸ばせば其処にあるもの










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沖田と土方さんで、仲が良いのか悪いのかわからん感じというリクエストでしたが、いかがなものでしょうか; 男同士は自分ではあんまり書かないので難しかった!でもこのふたりすきです。 というか土方さん、結構すきなんですけどベクトルが変な方向(どんな方向)へ向くのか扱いがアレですね(わたしもしかしてSなんですか)(しるか)
それでは、リクエスト有難う御座いました!リクされた方のみこの作品お好きにどうぞ!

2006,July 23





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