今回の任務先までは汽車で半日近くもかかるらしい。
夕暮れ頃に出発したのだけど到着するのはおそらく明日の早朝になるだろう。今は夜も明けていない時頃につきまだその道程は長い。







◇   ◇   ◇
 







ガタゴトン、揺れる列車。
長い長い夜の中、蛍光灯だけがぎらついて見える。眼を閉じてみても、光を通した瞼の裏側が明るい。おまけにふたつほど向こうの席からは、酒の入った若者たちの宴会もどきの喧しい騒ぎ声がしていて、眠りたいのだけどとても眠れそうに無かった。明日の朝は早いだろうから少しぐらい休まないといけないんだけど。
ひとつ小さな欠伸をしながら、カーテンを少し捲り上げて窓の外を眺める。夜汽車は、なにも無い田舎町に敷かれたレールの上を風を切って走っていた。
コマ送りのように流れているガラスの向こうの風景は、此方側とは対照的でただひたすらに漆黒。限りなく続いているそれは永遠のようにも思えた。
けれどそんなものは錯覚だ。夜は必ず明けて朝を迎え、それと共に自分達もまた必然的に、死と隣り合わせの戦いを迎える。それは神に誓いを捧げたエクソシストの運命だから。
向かいの席に座っているのも同じ運命を背負ったエクソシストなのだが―――しかし、共に任務を命じられた彼、アレン・ウォーカーは、窓に寄りかかったままどうやら眠りに落ちているようだった。自分にとっては騒がしい車内も彼にとっては騒音に値しないのだろうか。
耳元で”アレンくん”と呼びかけてみたところで乱れることの無い規則正しい寝息に、銀灰色の瞳は固く閉じられた瞼の下。

(全く、こんなに騒がしいのに眠っていられるなんて)

すっかり寝入っている様子に思わず小さな笑みが零れた。おまけに、可愛気のある―――と言えば悪いのかもしれないのだけど、その表情は少し幼く見え、尚の事頬は緩んだ。

(そういえばアレンくんの方が年下だったわね)

小さい子供にするように、自分が羽織っていたコートをそっと掛けてやったのも、それ故かもしれない。あどけない寝顔に向かって、こうしてみると年相応に見えるのにね、と胸中だけで呟いてもう一度だけ微笑んだ。

(それはつまり、平素は妙に大人びているということ)
(幾度と無く死闘を繰り広げてきた証)







NOBODY KNOWS






明日もわたしたちに神の御加護がありますように。












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(あれれれ、リナリーのキャラが解らなくなってきた)(大すきなのに!)
一応これ本誌連載再開祝い(祝えてねーよとか言わない!)
なんかSSっていうかSSSですね、短いや。もしかしたら続くかもしれません、これをリナリー編だとするのならばアレン編的な。

2006,June 18




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