静かな水底から光射す水面に向かい浮かび上がってくるように、徐々に覚醒していく意識。










重い瞼を押し上げるとそこは汽車の中だった。ガタンゴトン、と一定の間隔で列車が大きく揺れている。 数遍に一遍ほど特別激しく揺れるので、寝ぼけてぼおっとしていたアレンは危うく舌を噛みそうになった。

「・・・うー、それにしても眠いなあ」

掠れた声で呟いて、抑えきれず、ふああ、と大きな欠伸をする。
───目を醒ましたはいいけど、まだ目的地には着きそうにないし。どうしよう二度寝しようかな。

向かいの席ではまだ、黒髪の少女が漆黒の長い睫を伏せて眠っていた。華奢な身体を小さく丸めて横たわっている。
そうだった、リナリーと一緒に任務に遣わされたんだよな。そう思い返したところで、堪えきれずまた大きな欠伸をひとつした。



列車は変わらずよく揺れた。山道なのかカーブが多く、大きく曲がる度に、まだしゃんとしていない身体がふらふらと振子のようによろめく。
がったん。さっきよりも大きく揺れて、膝にかかっていたコートがずるりとずれ落ちた。慌ててそれを掴み、かけ直す。

「・・・ん?って、あれ?これリナリーのコート・・・」

全く以って自分のものだと思い込んでいたが、よく見ると丈も質感も違った。
大体よくよく考えれば、自分のコートはしっかり自身が着ているのに。寝惚けているのもいいところだ。だけどどうしてこんなもの、全く記憶にない。

「・・・もしかして、僕が眠っているあいだにかけてくれたのかな」

うん、なんとなくそんな気がする。というかおそらくそうだろう、彼女は優しいから。
ひとり頷いて、思わず微笑みを漏らした。

「ありがとう、リナリー」

すっかり寝ちゃってるから大丈夫だよな、と、まだ夢の中の彼女の額にそっと口付けを落とした。






A CHARMING DREAM












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アレリナがすきです。すきすぎてどうしたらいいのかわからないくらい本当にすきです(・・・)。


2006,July 21



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