ひとは生まれそして死ぬ。それは、くるくる環のように廻りつづけて。ほら、いままた誰かが生まれて誰かが死にゆく。 そして命は再び生れ落ちる日まで廻る、廻る。




















「それって確か、輪廻転生って云う東の国の思想じゃないですっけ」
「りんねてんしょう・・・?」
「ええ。―――人間は死んでもまた、生まれ変わるっていう」
「なあにそれ、知らなかったわ。はじめて聞いた」
「知らなくて当然ですよ、リナリーは小さいときに教団へ来たんでしょう?英国ではそういう話聞かないし」
「そうなの?・・・じゃあもし生まれ変わったとするなら、わたしは一体どんな人間に生まれてくるのかしら」
「さあ・・・そもそも、それが確かなものかなんて僕にもわかりませんけど、」
「・・・けど?」
「うーん、リナリーではない、リナリーなんじゃないですか?」
「なんだか物凄く抽象的ね」
「そうですねえ」
「わたしだけどわたしじゃない―――なら、例えば生まれ変わっても、今みたいに・・・アレンくんを好きになるかわからないのね」
「あれ、僕は来世でもリナリーのことを好きになるつもりだったんですけど」
「そんな笑顔で言わないでよ・・・だけどそんなの、もしもわたしが男の人に生まれ変わってしまったらどうするの」
「それもそれでいいんじゃないですか?代わりに僕が女性に生まれ変わっているかもしれませんし」
「やだ、まず出逢えるかどうかもわからないじゃない」
「絶対見つけ出してみせますよ」
「姿だってきっと違うのに?」
「はい、勿論です」
「なあにそれ、信じられないわ」
「信じてください」



ふっと綻んだ表情、意外にも大きな右手が頬を包み込む。 それは途轍もなく途方もなく夢見がちで幼く、浅いと思った。 なのに噫もなくそう言いのけてみせた彼を今、素直に信じてしまっている自分もまた浅はかだ。
大きな右手に自分の両手をそっと重ねた。
どうしようもない。だけど、それでもいい。



「ねえ、でもねアレンくん、」



輪廻を信じてみるのだとしたら。
やっぱりわたしは、生まれ変わってもリナリー・リーというわたしでありたいし、貴方はアレン・ウォーカーという貴方であって欲しいと思うの。
そしてまた巡り逢いたいと。

だけどそんなこと、決して有り得やしないのだろうけれど。











2006,July 9






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