矛盾***






「パーマー」



その声にあたしが反応する前に背中にずしり、と重みがかかった。妙な猫撫で声であたしの名前(じゃないけど本当は!)(不本意だわパーマ、なんて)を呼びながら今みたいに後ろからぎゅう、と抱きつかれるのはよくある話で。けれどその度にドキリと大きく鼓動を打つことはあたしだけの秘密だ。コイツは心が読める、なーんてかなり厄介なアリス持ってるし、秘密も何もそんな事はもう、とうの昔にバレているのかもしれないけど。あたしはとひとつ咳払いをすると、何の用よ、と少し冷たく言った。
でもその台詞が心無しか裏返ったような気がして、慌ててもうひとつ、誤魔化すようにゴホンと咳払いをした。



「あーそーぼー」

「嫌よ、あたし鳴海先生に用があんのよ」

「じゃあ僕も行くー」

「来なくていいわよっ!」

「なんだよーいいじゃん付いて行くくらいー」



何やらぶつぶつ呟く彼を一刀両断すると、「もう、付いて来るなら来ればいいでしょ勝手にしなさいよ!」と言い残して教室を後にした。

廊下を少し歩いたところでチラリ、と後ろを盗み見る。

まさか、本当に付いて来ているとは思いもしなかったけれど、でも心の何処かで其処に彼が居る事を期待していたり、した(何なのあたしどうかしてる)。そんな矛盾した気持ちを抱えながらクルリと振り返ってみると、そこには誰も、誰も居なくて。
そりゃあそうよね来なくていいとか勝手にしろとか言ったんだし、でも。

来ればいいでしょとも、あたし言ったのに。

何故かむしゃくしゃして、けれどそれが理不尽なものだということは十分解っている。やり場の無い感情をぐっと堪えて、くるりと踵を返す、その瞬間、



「パーマ、ちょっと待ってよ!」



後ろから聞こえたその声は紛れも無く彼の声だ。
小走りであたしの元まで駆け寄ると、彼は少し息を切らしながらその口を開いた。



「パーマ、嫌そうだったから付いて行かなかったけどやっぱり一緒に行く」



それは相も変らぬ普段の表情を崩さないままの言葉だったけれど、あたしにはそれが普段よりも少し優しく見えて。

何か口に出そうとしたのに言葉に詰まったのは、 突然あたしの右手に繋がれた彼の温もりを感じたからだ。先程のむしゃくしゃした寂しい気持ちがすっと晴れていく、 彼はあたしの心を読んで察してくれたのだろうか。そんな事を考えてあたしは、行くわよとその手をぎゅうと握り返した。



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所要時間20分・・・さすが微妙だ。 単調な話ばっかりで嫌になります。おまけにこのキャラの崩壊っぷり!というかこれぐらいの歳の恋愛ってわかりません。 でも心正田すごい好きです。

2005,September 10








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