「うわ、もう六時じゃねえ?どうしてくれるんだよ翼」
「俺のせいかよ?」
「どう見てもお前のせいじゃん、大体一人居残りって何なわけ馬鹿」
「あーはいはいそうでしたね、俺が悪いんでした」
「謝罪に誠意がこもってない気がするんだけど?てかそれが二時間も人を待たせた奴の言う台詞かコラ」





最終下校時刻を過ぎた中等部の校舎内は、気持ち悪いくらいに静かだった。多分、もう生徒は残ってないんじゃないだろうかと思う。帰路についている幾人かの生徒の話し声が、校舎の外から聞こえてくるだけだ。

窓からは茜色の陽光が差し込んで、色づいた廊下に、木枯らしに揺れている外の木々が影を落としていた。だけど、じき暗くなってくるのだろう。近頃はめっきり寒くなってきて、それと等しく日の落ちるのも早くなったから。





「・・・つーか美咲、先に帰っててくれりゃよかったのに」
「なんなの、あたしが待ってたのが不服なわけ」
「違、なんでそうなるんだよ!そうじゃなくて!」





乱暴に攫まれた左手。

どうせなら教室入ってこれば良かったのになんでお前わざわざこんなくそ寒い廊下で待ってたんだよ、ってさっきお前が言ってたとおり待たせた俺がぜんぶ悪いんだけど!とぶっきらぼうに捲くし立てて、それから翼はあたしの方を見て言った。





「だからほら、こんなに手も冷たくなってんだろ」



骨ばった大きな掌からじんわりと伝わってくるあたたかさ。冷え切っていた指先が溶かされていくよう。





「・・・・・・柄にもねーことしやがって、つばさのくせに」
「うっせ」





心なしか翼の顔が赤いのは、夕日に照らされてるからってことにしておいてやろうと思う。 だから翼もどうか、きっと同じように染まったあたしの頬は、夕日のせいだと、思って。









イン ザ カルム ワールド      









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お、お待たせしてすいません!!(ジャンピング土下座)
リクは翼美咲、シチュ等はお任せということで、なんかえっらい青臭い上短い話になってしまいましたが、いつもお世話になっております空草さまに捧げます! うちのサイトにしては珍しく翼がちょっと強気だ(笑)
こんなもので宜しければ煮るなり焼くなりお好きにしてやってください・・・

2006,November 12






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