(どこまで続いているのだろうか)
アリの行列***
ウチがここにしゃがみこんでもうどれ位経つのだろう。
俯いて覗き込んだ地面には、昆虫の死骸をせっせと運び続けている黒い行列。 時間の感覚が薄れてくる程までに,アリの行列を見続けている自分はなんともまぬけだ。
先ほどまでは蛍も一緒に居たが,あきれたのか気付かぬうちにどこかへ行ってしまった。
もうそろそろこの場所から離れないと,2時間目の授業も始まるだろう。
(いつまでこないしてんねん、ホンマにウチはバカや、何やってんのやろ)
・・・とは思っているものの―― この小さな生き物は何を思って1列になってるんかな、ちゃんと巣まで無事にたどり着けるかな、 と、取り留めの無いようなことばかり考えてしまうのもまた事実だ。
(あかんあかん、ホンマに授業始まってまう)
もういい加減立ち上がろうとしたそのとき。
「何やってんだお前」
「…うわ、棗かいな。見てわかるやろ?アリの観察やん」
「・・・救いようのないバカだなテメーは」
ムカッと来たが,言い返しようが無い。
確かに休み時間からアリの観察なんかしてるような暇な奴は、ウチ以外にきっといない。と、思う。
それでもこのまま何も言えないのは癪だ。あれこれ台詞を考えた挙句,あんたは何してんの,と尋ねようとすると、棗はもう数メートル先をスタスタ歩いていた。
「あっ!!ちょっと待ってくれたってええやんか,教室一緒やねんから一緒に帰ろうとか考えへんの!?」
少し離れた場所にいる棗に大きめの声で叫んでみる。 すると棗はくるりと振り返って,
「お前みたいなバカと一緒に帰るのはごめんだな」
と、また足早に歩き出した。
蜜柑は「ホンマにつれへんやつやな」とボソッとつぶやいたが、 歩き出した筈の棗が少し向こうで立ち止まってくれていることに気付くと、そちらの方向へ勢いよく走り出すのだった。
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昔アリの行列見るのがすごくすきだったんです。
2005,March 26
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